あなたの採択率で、研究人生をシミュレーションしてみよう
「自分だったら、あと何回採択されるのだろう。」
この疑問から始まったのが、本シリーズでした。
これまで、
について紹介してきました。
しかし、一番知りたいのは私の結果ではありません。
あなた自身の研究人生です。
そこで、本シリーズの付録として、「科研費人生シミュレーター」を作成しました。
このシミュレーターでできること
これまでの科研費の
- 申請回数
- 採択回数
を入力するだけで、基盤研究(C)を想定して対象次のような結果を確認できます。
- ベイズ統計による現在の推定採択率
- 今後10回の申請機会における期待採択回数
- 10回の申請機会で採択ゼロとなる確率
- 10回の申請機会で採択1回以下となる確率
- 10回の申請機会で5回以上採択される確率
- 10回の申請機会で7回以上採択される確率
科研費人生シミュレーター
これまでの科研費申請回数と採択回数を入力すると、ベイズ補正後の採択率と、今後10回分の採択回数の確率を計算します。基盤研究(C)向けです。
なお、本シミュレーターで扱う「10回」は10年間を意味するものではなく、10回の申請機会を表しています。
実際の科研費では、採択された課題の研究期間中は同一種目へ毎年申請できない場合があります。そのため、現実の経過年数とは一致しません。
本シミュレーターは、「10年間の予測」ではなく、10回申請した場合に想定される採択回数の分布を統計的に示すものです。
このシミュレーターは未来を予言するものではありません
ここで一つ、強調しておきたいことがあります。
このシミュレーターは、「あなたの未来を当てる」ためのものではありません。
モンテカルロシミュレーションは、現在の採択率を前提として、「どのような未来が、どのくらいの確率で起こり得るか」を示す手法です。
実際の研究人生では、
- 新しい研究テーマへの挑戦
- 論文業績の蓄積
- 共同研究の発展
- 制度改正
- 研究環境の変化
など、さまざまな要因によって採択率は変化します。
つまり、未来は固定されていません。
このシミュレーターは、「現在地から見える未来」を考えるための道具です。
結果を見るときのポイント
シミュレーション結果を見るときは、平均採択回数だけに注目しないことをおすすめします。
例えば、
「採択ゼロの確率がどのくらいあるのか」
「5回以上採択される可能性はどのくらいあるのか」
といった分布全体を見ることで、自分の研究人生をより立体的に捉えられます。
また、「採択率を5ポイント改善したらどう変わるか」を試してみることもおすすめです。
研究計画書を改善する意味が、数字として実感できるはずです。
なお、本シミュレーターは10回の申請機会を対象とした統計モデルです。
実際の科研費制度では、採択後の研究期間や制度上の制約によって申請できない年度が存在します。そのため、本シミュレーションは研究人生の長期的な傾向を考えるための参考としてご利用ください。
このシリーズで伝えたかったこと
私はこれまで、多くの科研費申請書を読み、採択・不採択の結果を見てきました。
その中で感じたのは、研究者は一枚の結果通知に心を動かされ過ぎているということです。
もちろん、一回の採択は嬉しい出来事です。
一回の不採択は悔しい出来事です。
しかし、研究者人生は一年で終わるものではありません。
10年、20年という時間の積み重ねです。
今回紹介したシミュレーターは、その長い時間軸を少しだけ可視化するために作成しました。
もし、このシミュレーターが「今年の結果だけで自分を評価しない」という新しい視点につながったなら、これほど嬉しいことはありません。
免責事項
本シミュレーターは、統計学的な考え方を理解するための教育・参考ツールです。実際の科研費審査結果や採択を予測・保証するものではありません。
本シミュレーションは、各申請機会における採択確率が一定であり、10回の申請機会が互いに独立しているという仮定(二項分布モデル)に基づいて計算しています。
実際の科研費制度では、採択課題の研究期間中は同一種目へ毎年申請できない場合があること、研究実績や研究環境、制度改正、審査区分などにより採択確率が変化することから、本シミュレーション結果が実際の採択結果と一致するとは限りません。
したがって、本シミュレーターは**「10年間の採択回数」を予測するものではなく、「10回の申請機会における採択回数の分布」を統計的に示すもの**です。研究戦略や研究人生を考える際の参考情報としてご活用ください。



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