箱ひげ図とは?見方・作り方・四分位数との関係をわかりやすく解説

統計・データ分析

前回は、データを4つのグループに分けて特徴を読み取る四分位数について学びました。四分位数を使うことで、データの中心だけでなく、どのように分布しているのかを把握できるようになりました。

しかし、四分位数を数値だけで並べても、データの特徴を直感的に理解することは簡単ではありません。

そこで活躍するのが箱ひげ図(はこひげず)です。

箱ひげ図は、四分位数を利用してデータの分布やばらつき、外れ値を一目で確認できるグラフです。研究論文や学術論文だけでなく、企業のデータ分析や品質管理、医療統計など、さまざまな場面で利用されています。

今回は、箱ひげ図の意味や見方、どのような情報を読み取ることができるのかについて詳しく学んでいきましょう。

箱ひげ図とは

箱ひげ図とは、データの分布を箱と線(ひげ)を使って表したグラフです。

名前のとおり、中央に「箱」があり、その両側に「ひげ」が伸びている形をしています。

箱ひげ図は、次の5つの値をもとに作られます。

  • 最小値
  • 第1四分位数(Q1)
  • 中央値(Q2)
  • 第3四分位数(Q3)
  • 最大値

この5つをまとめて五数要約と呼びます。

箱ひげ図を見ることで、データ全体の広がりや偏りを短時間で把握することができます。

箱ひげ図の見方

箱ひげ図では、箱の左端が第1四分位数(Q1)、右端が第3四分位数(Q3)を表します。

つまり、箱の中には全体の約50%のデータが含まれています。

箱の中に引かれている一本の線が中央値(Q2)です。

中央値が箱の中央付近にあれば、おおよそ左右対称な分布と考えられます。

一方、中央値が箱の端に近い位置にある場合は、データがどちらか一方に偏っている可能性があります。

箱から左右に伸びる線が「ひげ」です。

一般的には、ひげは外れ値を除いた最小値と最大値まで伸びます。

そして、ひげのさらに外側に点が描かれている場合があります。

これが外れ値です。

外れ値とは、ほかのデータから大きく離れた値のことをいいます。

研究データでは、入力ミスや特殊な事例を発見する手掛かりになることもあります。

箱の大きさから分かること

箱が長い場合は、第1四分位数から第3四分位数までの範囲が広いことを意味します。

つまり、多くのデータが広い範囲に分布しており、ばらつきが大きいと考えられます。

反対に、箱が短い場合は、多くのデータが狭い範囲に集中しています。

また、左右のひげの長さを比較することで、データがどちらか一方へ偏っているかどうかも分かります。

例えば、右側のひげが長ければ、高い値の方向へデータが広がっていることを示しています。

箱ひげ図は比較に強い

箱ひげ図の大きな特徴は、複数のデータを比較しやすいことです。

例えば、AクラスとBクラスのテスト結果を比較するとします。

平均点はどちらも70点だったとしても、箱ひげ図を見るとAクラスは点数が70点付近に集中しており、Bクラスは40点から100点まで幅広く分布していることが分かる場合があります。

このように、平均値だけでは見えない違いを視覚的に比較できることが、箱ひげ図の大きなメリットです。

そのため、研究論文では複数の実験群を比較する際によく利用されています。

箱ひげ図はどんな場面で使われる?

箱ひげ図は、さまざまな分野で利用されています。

教育分野では、学年やクラスごとの成績比較に利用されます。

医療分野では、治療期間や検査値の分布を比較する際によく用いられます。

企業では、商品の売上や品質データを比較するときに利用されています。

スポーツでは、選手の記録やタイムを比較する際にも活用されています。

このように、「データを比較する」という場面では、箱ひげ図は非常に便利なグラフです。

箱ひげ図と平均値の違い

箱ひげ図には、通常、平均値は表示されません。

その理由は、箱ひげ図が「データの分布」を表すことを目的としているためです。

平均値はデータを一つの数字にまとめますが、箱ひげ図はデータの広がりや偏りまで表現できます。

そのため、統計解析では平均値と箱ひげ図を組み合わせて利用することも多くあります。


例題1(基礎)

問題

ある箱ひげ図について、次の値が分かっています。

  • 最小値:40
  • 第1四分位数:55
  • 中央値:65
  • 第3四分位数:80
  • 最大値:95

箱の中には、全体の何%のデータが含まれているでしょうか。

解答

50%

解説

箱は第1四分位数から第3四分位数までの範囲を表しています。

この範囲には、全体の約50%のデータが含まれています。


例題2(応用)

問題

AクラスとBクラスの箱ひげ図を比較したところ、中央値はどちらも75点でした。

しかし、Aクラスは箱が短く、Bクラスは箱が長くなっていました。

この結果から、どのようなことが考えられるでしょうか。

解答

Aクラスは成績のばらつきが小さく、Bクラスはばらつきが大きいと考えられます。

解説

箱の長さは、第1四分位数から第3四分位数までの範囲を表しています。

箱が短いほど、多くの生徒の点数が似たような範囲に集中しています。

反対に、箱が長いほど、点数のばらつきが大きいことを示しています。

中央値が同じでも、箱ひげ図を見ることでデータの分布の違いを理解することができます。


まとめ

箱ひげ図とは、四分位数を利用してデータの分布を表すグラフです。箱は中央50%のデータを示し、中央値やばらつき、データの偏り、外れ値など、多くの情報を一目で読み取ることができます。

また、複数の集団を比較する際にも非常に便利であり、教育、医療、企業、研究など幅広い分野で活用されています。

箱ひげ図は、単にグラフを読むだけでなく、データの特徴を客観的に比較・分析するための重要な手法です。四分位数とあわせて理解することで、統計学への理解はさらに深まります。

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箱ひげ図で使われる箱の長さには、重要な意味があります。次回は、その長さを表す「四分位範囲(IQR)」について学び、データのばらつきを数値で評価する方法を見ていきましょう。

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