中央値とは?外れ値に強い代表値をわかりやすく解説

統計・データ分析

前回は、代表値の一つである平均値について学びました。平均値は、すべてのデータを足し合わせ、その個数で割ることで求められる代表値であり、学校のテストや平均気温、平均年収など、私たちの身の回りでも広く利用されています。

しかし、平均値には一つ弱点があります。

それは、極端に大きい値や小さい値(外れ値)の影響を受けやすいということです。

例えば、5人の年収が300万円、320万円、330万円、340万円、3億円だった場合、平均年収は約6,058万円となります。しかし、この数字だけを見ると、実際の給与水準とは大きく異なる印象を受けてしまいます。

そこで活躍するのが中央値です。

中央値は、平均値と並んで最も重要な代表値の一つであり、外れ値の影響を受けにくいという大きな特徴があります。

今回は、中央値の意味や求め方、平均値との違い、どのような場面で利用されるのかについて詳しく見ていきましょう。

中央値とは、データを小さい順(または大きい順)に並べたとき、ちょうど真ん中に位置する値のことです。

英語では「Median(メディアン)」と呼ばれます。

例えば、次の5人のテストの点数を考えてみましょう。

60点、70点、75点、80点、90点

このデータはすでに小さい順に並んでいます。

真ん中にある値は75点です。

したがって、このデータの中央値は75点になります。

ここで重要なのは、中央値を求めるときには必ずデータを順番に並べることです。

並べ替えをしなければ、真ん中の値は分かりません。

では、データの個数が偶数の場合はどうでしょうか。

例えば、

60点、70点、80点、90点

という4人分のデータがあったとします。

この場合、真ん中にくるデータは二つあります。

70点と80点です。

中央値は、この二つの平均を求めます。

(70+80)÷2=75

したがって、このデータの中央値も75点になります。

このように、奇数個の場合は真ん中の値、偶数個の場合は中央二つの平均を中央値とします。

中央値の最大の特徴は、外れ値の影響をほとんど受けないことです。

例えば、先ほどの年収の例をもう一度考えてみます。

300万円、320万円、330万円、340万円、3億円

平均年収は約6,058万円でした。

一方、中央値は真ん中の330万円になります。

どちらが会社全体の給与水準を表しているでしょうか。

多くの人は、330万円の方が実態に近いと感じるでしょう。

このように、中央値は極端な値が存在する場合でも、データ全体の中心を適切に表すことができます。

そのため、最近ではニュースや行政資料でも中央値が利用される場面が増えています。

例えば、不動産価格や所得、資産額などでは、一部の非常に高額なデータが平均値を押し上げることがあります。

このような場合、平均値より中央値の方が現実を反映していることが多いためです。

では、平均値と中央値はどのように使い分ければよいのでしょうか。

データが左右対称に近く、極端な値がほとんど存在しない場合には、平均値と中央値はほぼ同じ値になります。

例えば、試験の点数や身長などでは、多くの場合、平均値を代表値として利用できます。

一方で、年収や資産、住宅価格、インターネットのフォロワー数など、一部だけ非常に大きな値を持つデータでは、中央値の方が代表値として適しています。

つまり、代表値を選ぶ際には、「どちらが正しいか」ではなく、「どちらがデータの特徴をよく表しているか」を考えることが重要なのです。

研究でも中央値は頻繁に利用されています。

医療分野では、生存期間や入院日数を中央値で表すことが多くあります。

例えば、新しい治療法について、「中央値の生存期間は24か月」といった表現が使われます。

これは、ごく少数の長期間生存した患者によって平均値が大きく変化することを防ぐためです。

また、アンケート調査でも、回答時間や利用頻度などに極端な値が含まれる場合には中央値が用いられることがあります。

中央値は非常に便利な代表値ですが、弱点もあります。

それは、データ全体を利用していないという点です。

例えば、

1、2、3、4、100

というデータと、

1、2、3、4、1,000

というデータでは、中央値はどちらも3になります。

しかし、データ全体を見ると大きく異なります。

中央値だけでは、極端な値がどれほど離れているかまでは分かりません。

このため、統計学では平均値だけ、中央値だけを見るのではなく、両方を比較することが重要になります。

もし平均値と中央値が大きく異なっている場合は、「外れ値の影響があるのではないか」「データが偏っているのではないか」と考えるきっかけになります。

統計学では、一つの数字だけで判断するのではなく、複数の視点からデータを見る姿勢が大切なのです。


例題1(基礎)

問題

次のデータの中央値を求めましょう。

65、72、80、88、95

解答

中央値:80

解説

データはすでに小さい順に並んでいます。

5個のデータなので、中央に位置する3番目の値が中央値になります。

したがって、中央値は80です。


例題2(応用)

問題

次の5人の年収があります。

320万円、330万円、340万円、350万円、5,000万円

① 平均値を求めましょう。

② 中央値を求めましょう。

③ このデータの代表値として、どちらが適しているか考えましょう。

解答

① 平均値

(320+330+340+350+5,000)÷5

=6,340÷5

1,268万円

② 中央値

340万円

③ 代表値として適しているのは中央値です。

解説

5,000万円という極端に高い年収が平均値を大きく押し上げています。そのため、平均値だけを見ると、多くの社員の給与水準を正しく表しているとは言えません。

一方、中央値は340万円であり、大多数の社員の年収に近い値になっています。

このように、外れ値が含まれるデータでは、中央値の方が実態を反映しやすい代表値となります。


まとめ

中央値は、データを小さい順に並べたときの中央に位置する値であり、代表値の一つです。平均値とは異なり、外れ値の影響を受けにくいという大きな特徴があります。

そのため、年収や資産、不動産価格、医療データなど、一部に極端な値が含まれるデータでは、中央値が代表値として利用されることが多くあります。

一方で、中央値はデータ全体の情報を十分に反映できない場合もあります。そのため、平均値と中央値を併せて確認することで、データの特徴をより正確に理解することができます。

統計学では、「どちらが優れているか」ではなく、「データの特徴に応じて適切な代表値を選ぶこと」が重要です。

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