データには種類がある!統計学の第一歩は「データの性質」を知ること

統計・データ分析

統計学では、分析を始める前に必ず確認しなければならないことがあります。

それは、「このデータはどのような種類なのか」ということです。

「身長」「体重」「テストの点数」「血液型」「好きなスポーツ」「満足度アンケート」など、一見するとすべて同じ「データ」に見えます。しかし、統計学ではこれらを同じようには扱いません。

例えば、血液型の平均値を計算することはできませんし、「野球」「サッカー」「バスケットボール」を足して平均を求めることも意味がありません。一方で、身長や体重であれば平均値や標準偏差を計算できます。

つまり、データにはそれぞれ性質があり、その性質に応じて使える統計手法が決まるのです。

この記事では、統計学を学ぶうえで最も重要な基礎となる「データの種類」について解説します。


データとは何か

データとは、物事を観察・測定した結果を記録したものです。

例えば、ある高校の生徒について調査するとします。

記録できる項目には次のようなものがあります。

  • 身長
  • 体重
  • 年齢
  • 性別
  • 血液型
  • 好きな教科
  • テストの点数
  • 睡眠時間

これらはすべてデータです。

しかし、それぞれ性質は異なります。

統計学では、この違いを理解して分析方法を選択します。


大きく分けると2種類

統計学では、データは大きく**質的データ(カテゴリカルデータ)量的データ(数値データ)**に分けられます。

質的データ

質的データとは、種類や分類を表すデータです。

例えば、

  • 性別
  • 血液型
  • 出身県
  • 好きなスポーツ
  • 学部
  • 商品カテゴリー

などが該当します。

これらは数字で表されることがあっても、数字自体には大きさの意味はありません。

例えば、

男性=1

女性=2

と入力したとしても、

女性は男性の2倍という意味ではありません。

単なるラベルとして数字を使っているだけです。


量的データ

量的データとは、大きさや量を測定したデータです。

例えば、

  • 身長
  • 体重
  • 年齢
  • 年収
  • テストの点数
  • 睡眠時間

などです。

これらは平均値や分散、標準偏差などを計算できます。

多くの統計解析では、この量的データを分析対象とします。


さらに4種類の尺度に分けられる

統計学では、データをさらに細かく**4つの尺度(scale)**に分類します。

この分類は、アメリカの心理学者スタンリー・スティーブンス(S. S. Stevens)が提唱したもので、現在でも統計学や社会科学、医学など幅広い分野で用いられています。


名義尺度

名義尺度は、分類だけを表す尺度です。

例えば、

  • 性別
  • 血液型
  • 出身県
  • 国籍

などがあります。

ここでは大小関係はありません。

例えば、

A型

B型

O型

AB型

には順番も優劣もありません。

そのため平均値は計算できません。

一方で、

「A型は全体の40%」

のような割合は求められます。


順序尺度

順序尺度は、順位があるデータです。

例えば、

  • アンケート評価(5段階)
  • 成績順位
  • 大会順位

などです。

「5」は「4」より良いことは分かります。

しかし、

5と4の差

4と3の差

が同じとは限りません。

そのため、単純に平均値を計算すると解釈に注意が必要になります。


間隔尺度

間隔尺度は、差には意味があるが、ゼロが絶対的ではない尺度です。

代表例は気温です。

例えば、

10℃

20℃

では、

20℃は10℃より10℃高い

とは言えます。

しかし、

20℃は10℃の2倍暖かい

とは言えません。

0℃は「何もない」ことを意味していないからです。

テストの点数や西暦も、多くの場合は間隔尺度として扱われます。


比例尺度

比例尺度は、絶対的なゼロを持つ尺度です。

例えば、

  • 身長
  • 体重
  • 年齢
  • 距離
  • 時間
  • 売上金額

などです。

身長100cmは50cmの2倍と言えます。

体重80kgは40kgの2倍です。

ゼロが「存在しない状態」を意味するため、比率にも意味があります。

統計解析では、この比例尺度が最も多く利用されます。


なぜ尺度を理解する必要があるのか

尺度を間違えると、誤った分析になってしまいます。

例えば、

血液型の平均

好きな色の標準偏差

を計算しても意味はありません。

一方、

身長の平均

体重の標準偏差

は意味があります。

また、

アンケートの5段階評価を平均することは実務上よく行われますが、本来は順序尺度であることを理解したうえで結果を解釈することが大切です。

統計ソフトは計算してくれますが、計算できることと、統計学的に適切であることは別問題なのです。


データの種類で分析方法も変わる

分析手法はデータの種類によって決まります。

例えば、

男女別の人数を比較したい場合は、質的データなのでχ²(カイ二乗)検定などが用いられます。

男性と女性の平均身長を比較したい場合は、量的データなのでt検定が候補になります。

身長と体重の関係を調べたいなら相関分析や回帰分析が考えられます。

つまり、「どんな分析をしたいか」だけでなく、「どんなデータなのか」を知ることが、正しい統計解析の出発点なのです。


例題①(基礎)

次のうち、量的データに当てはまるものを1つ選びましょう。

A. 血液型

B. 好きな教科

C. 身長

D. 出身県

解答

正解はC. 身長です。

身長は長さを測定した数値であり、平均値や標準偏差を計算できます。一方、血液型や出身県、好きな教科は分類を表す質的データです。


例題②(応用)

ある大学で、学生に授業満足度を「1(非常に不満)~5(非常に満足)」の5段階で回答してもらいました。

このデータについて、次の記述のうち最も適切なものを選びましょう。

A. 比例尺度なので「4」は「2」の2倍満足していることを意味する。

B. 名義尺度なので順位は存在しない。

C. 順序尺度なので順位には意味があるが、「5と4」と「3と2」の差が等しいとは限らない。

D. 間隔尺度なので0点との差を考えられる。

解答

正解はCです。

5段階評価は順序尺度に分類されます。「5」のほうが「4」より高い評価であることは分かりますが、その差が常に一定とは限りません。このため、平均値を利用する場面は多いものの、その解釈には注意が必要です。


まとめ

統計学では、すべてのデータを同じように扱うことはできません。まずは「質的データ」と「量的データ」の違いを理解し、そのうえで名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比例尺度という4つの尺度を区別することが重要です。

データの種類が分かれば、どのようなグラフを使えばよいか、どの統計手法を選べばよいかが自然と見えてきます。逆に、この分類を誤ると、どれほど高度な統計ソフトを使っても適切な分析結果は得られません。

統計学の第一歩は難しい数式ではなく、「データを正しく理解すること」です。この考え方は、今後学ぶ記述統計や推測統計、統計解析のすべての土台になります。

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